オンコロジーMRの転職市場
オンコロジー転職市場の現状
こ数年、製薬メーカーによる正社員MRの募集状況を領域別に見て見ると、かつてあれだけの大
量採用を行ってきた高血圧症治療薬や糖尿病治療薬などの生活習慣病領域はほとんど姿を消して
しまいました。代わりに増えてきたのは、画期的な治療薬が上市されたC型慢性肝炎治療薬などの
スペシャリティ領域の募集です。しかもそうしたスペシャリティ領域の代表的なものがオンコロジー領
域です。


活況を呈するオンコロジー領域MRの転職市場
日本における死亡原因を見ると、第3位が「脳血管疾患」、第2位が「心疾患」、そして第1位が「がん」となっています(厚
生労働省の発表による)。生活習慣病の効果的な治療薬が次々と開発され、それらが
ジェネリック医薬品に置き換わる
という状況に変わってきた日本で、新薬メーカー各社は生活習慣病治療薬に代わる主力製品を開発する必要に迫られ
ました。そこで各社が目をつけたのが、アンメットメディカルニーズが高く、しかも市場の大きいオンコロジー領域です。こ
れが日本においてオンコロジー領域
MRの転職市場が活況を呈するようになった背景です。

がん治療法開発の今
アンメットメディカルニーズが高く、しかも医薬品としての市場が大きいとなれば、各社とも研究開発に力を入れるのが
自然で、それはアカデミアとの積極的な協力関係も促進させることになります。その結果、がん治療は急速に発展して
きています。従来はがんの治療法と言えば「手術療法」「化学療法」「放射線療法」が3大治療法と言われてきましたが、
近年ではこれらに加えて免疫チェックポイント阻害剤に代表される「がん免疫療法」や、がんの「ウイルス療法」、「
光免
疫療法
」など、次々と新しいがんの治療法が開発されてきています。そしてこうした新たな治療法の開発に伴い、製薬メ
ーカーも新しいタイプの治療薬の上市に向けてがん領域の組織を充実・拡大させています。こうしたがん治療法のめざ
ましい発展が、
オンコロジー領域MRの転職市場拡大のもうひとつの要因となっています。

免疫チェックポイント阻害剤の進展
がん免疫療法の中でも急速な進展が見られるのが免疫チェエックポイント阻害剤です。がん細胞には免疫にかかわる
T細胞のはたらきを弱める仕組みを持っていることがわかり、その仕組みを阻害することでT細胞を十分働させることで
がん細胞への攻撃力を高めるのが免疫チェックポイント阻害剤。がん細胞はPD-L1というアンテナのようなものをT細
胞のPD-1という受容体に結合させることでT細胞の攻撃から逃れているので、T細胞のPD-1受容体に結合する抗体で
PD-1受容体に蓋をしてPD-L1が結合できなくしてしまうことでT細胞の攻撃力を復活させるのです。こうした免疫チェック
ポイント阻害剤として世界初の承認を取得したのが小野薬品工業(海外ではブリストルマイヤーズ社)のオプジーボ。ま
たオプジーボの競合品としてMSDが開発したのがキイトルーダです。日本のMR転職市場では、この2つの免疫チェッ
クポイント阻害剤の上市が、オンコロジー領域専門MRの求人を活発化させる原動力となったと言えます。


オプジーボもキイトルーダも上記のように抗PD-1抗体ですが、それ以外の免疫チェックポイント阻害剤の開発も進んで
います。ブリストルマオヤーズは抗CTLA-4抗体のヤーボイを2015年に日本で承認を取得しており、2017年に入ると2
月には中外製薬(ロッシュ)が、また続いて3月にはメルクセローノ&ファイザーが共同開発による抗PD-L1抗体の免疫
チェックポイント阻害剤を日本で承認申請しました。このほかにもアストラゼネカが抗PD-L1抗体と抗CTLA-4抗体の2
種類の免疫チェックポイント阻害剤をフェーズ3で開発中です。このように今後は日本に限らず世界のオンコロジー領
域において免疫チェックポイント阻害剤を中心とした激しいシェア争いが続くものと考えられますので、日本のMR転職
市場でもオンコロジー領域専門MRの募集がいっそう活発化することが予想されます。


抗がん剤未経験者の転職可能性
このように拡大しているオンコロジー領域MRの転職市場ですが、抗がん剤未経験者の対する求人状況はどうでしょう
か。現状のオンコロジー領域MR転職市場の拡大を主導しているのは、新たに(あるいは本格的に)オンコロジー領域
の治療薬市場に参入してきているメーカーです。そのため、そうしたメーカーの求人は、抗がん剤担当経験者MRに絞
った募集となります。従って現状では、オンコロジー領域MR転職市場の拡大の恩恵にあずかっているのは抗がん剤
担当経験者MRが中心です。


ただ、抗がん剤担当経験者以外のオンコロジーMR求人が全くないわけではありません。従来から抗がん剤を扱ってき
たメーカーで、しかも抗がん剤担当経験の無いMRに対する入社後の教育体制が整っているメーカーでは、一度に大
量の募集はありませんが、抗がん剤担当経験の無いMRも含めて、基幹病院で症例ベースのMR活動に積極的に取
り組んできた方であれば十分転職が可能です。


そうはいってもこれまでに抗がん剤担当未経験者を募集してきているメーカーは極く限られており、今後も一気にそうし
た採用方針を採るメーカーが増加することは期待できません。そこで抗がん剤担当経験のない方でもオンコロジーMR
へのキャリアチェンジできる方法を考える必要があります。


そうした方法として考えられるのは、コントラクトMRに転職してオンコロジー領域MR経験を積み、そのうえで再度の転
職でメーカーのオンコロジー領域MRになるという方法です。コントラクトMRであれば抗がん剤担当経験がなくても応
募可能なオンコロジー領域MRの募集もけっこうあります。また大手メーカー各社のオンコロジー領域への力の入れ方
から考えれば、日本におけるオンコロジー領域MRの募集は今後もかなり長く続くことが想定されますので、コントラクト
MRとして2年程度の経験を積んだ後でも、メーカーのオンコロジーMRへの転職チャンスは十分あると考えられます。


さらにMR未経験者にとってもオンコロジーMRへの転職可能性はあります。さすがに未経験者がいきなりオンコロジー
MRとして転職できる可能性は近年ではほとんどありませんが、最近はCSOが自社のコントラクトMRを対象に独自の
オンコロジ−MR育成プログラムを実施している場合がありますので、そうしたCSOのコントラクトMRに転職すれば、

未経験者がMRに転職する場合でも近い将来にオンコロジーMRにおれる可能性があります。

オンコロジー領域専門MRの特徴
かつて間質性肺炎による死亡例が多発したアストラゼネカ社の「イレッサ」が、その後の研究で上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異が陽性の患者に限定した適応になったことからも、また肺がんへの適応拡大によって多額の医療費が懸念されるために効果の有無を判定する遺伝子検査の開発が進んでいる免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の例からも、近年の抗がん剤は個別医療の典型ともいえる薬剤となっているため、一例ごとに症例ベースでの丁寧なMR活動が求められる領域です。
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オンコロジー領域専門MRの将来性
今後のMR転職市場ではスペシャリティ領域での求人が大半を占めることが予想されます。中でも患者数が多く、アンメットメディカルニーズも高いオンコロジー領域は、今後もMRの転職市場では最も求人が多く出る可能性の高い領域です。従ってその点だけを見ても、オンコロジー領域専門MRとして経験を積むことがMRとしての「転職力」を高めることになるのは間違いありません。

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企業別オンコロジー領域MR

アステラス製薬株式会社

メルクセローノ株式会社

武田薬品工業株式会社

MSD株式会社

小野薬品工業株式会社